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貸ビルは節税対策の宝庫である(その2) - 横須賀不動産鑑定事務所/横須賀 博

 

昭和30年代半ばから税理士を本業としていた私は、銀座の貸ビルの取得を機会に家族全員が株主となって株式会社を設立、貸ビル業も兼業することになった。昭和42年には不動産鑑定士の資格も得て、その後も貸ビル事業を拡大すべく、銀行借り入れによって新たな貸ビルを取得した。バブル崩壊により、銀行からは融資引き締めや繰り上げ返済の要請もあったが、個人財産を処分して、どうにか貸ビル事業を継続することができた。その後、不動産価格は右肩下がりを続けたが、貸ビルはその時代に見合った賃料を得ることができ、相応の法人税の支払いは続けられた。

 

そんなある日、ふと自分の年齢を考え、自己の相続問題を検討した。ビル会社のバラン
スシートには、バブル時の価格で表示されている物件もあり、実際には相当の含み損が帳簿に計上されている。相続税の株式の評価は純資産方式によるが、この方式では、私や銀行からの借入金の方が不動産を路線価で評価した価格よりも上回り、株価は0円と評価された。そのため、将来発生するであろう相続税を考え、今のうちに後継者に私所有のビル会社の株式を贈与すべきと判断し、実行した。

その後は、ビル会社の利益から私の貸付金を少しずつ返済することになったが、私からビル会社への貸付金は膨大で、私の存命中に完済することは不可能であると考え、その貸付金額に相当する「貸ビル」一棟を会社から私個人に譲渡することとした。(経理処理は貸ビルと貸付金との相殺)これにより、ビル会社には多額の譲渡損が発生したが、この譲渡損は以後の利益から控除され、法人税は発生せずに済んだ。ただ、私に所有権が移った貸ビルからの家賃収入は、以後は会社ではなく、私個人の所得の増加となった。しかし、私に万一相続が発生した際には、私が取得した貸ビルの敷地の評価は路線価(時価の80%程度)で評価されるために、相続税の節税が期待できる。更には、私の取得した小規模敷地の貸ビルは、親族が相続する等の一定の条件をクリアすれば、「貸付事業用宅地」として200㎡を限度に50%の減額が認められ、有利となる。

 

それまで、自分のビル会社に対する貸付金の回収に頭を痛めていた私だが、上記のような手段をとることにより、これが解決されたうえ、後継者が経営するビル会社の法人税や後継者が負担する相続税が減額されることとなり、将来の不安までが解消された。このように、貸ビル等の不動産の所有には、多くの節税に関する特典が与えられており、正に「貸ビルは節税対策の宝庫」といえよう。

 

株式会社 横須賀不動産鑑定事務所

税理士・不動産鑑定士 横須賀 博

株式会社ビル経営研究所の「週刊ビル経営」より転載(許諾済)


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