工場財団の財団評価1(概要)
2大メリットは担保力の増大と税制上の優遇
工場は、土地・建物だけでなく、機械・器具その他の設備と一体で機能を発揮しているため、こうした設備も含めて担保に入れると、担保力が増大します。
分散している複数の工場、観光施設であっても、それぞれ1個の「財団」に組成できるため、担保物件の管理が容易になります。また、(根)抵当権設定に係る登録免許税は、一般不動産のそれと比べ軽減される等、税制上の優遇措置も講じられています。
財団の鑑定評価の必要性
財団の設定は、常に(根)抵当権の設定のために行なわれます。融資を受けようとする企業にとっては融資期待額との関連で、また金融機関にとっては融資予定額との関連で、担保となる財団がどれ程の価値を有するかということが重要な関心事となります。ここに、財団の鑑定評価の必要性が存するわけです。
信託銀行で培ったノウハウ
弊社では、信託銀行で財団評価に長年従事した不動産鑑定士が新規に財団の組成を検討される場合のご相談や、組成済の財団の見直し(再活用)についてのご相談を承っております。なお、工場財団の組成手続きについて、別項(財団評価その2)で詳しく説明していますのでご参照ください。
財団組成のメリット
1. 抵当権設定手続きの簡素化
工場財団や観光施設財団を組成すれば、土地、建物、機械器具等は法律上1個の不動産とみなされ、社内での管理事務や登記手続きが簡素化されます。
2. 担保価値の向上
機械器具等の動産は、「不動産」として擬制されることにより、担保としての安定性が増し、担保価値が向上します。資金調達がより円滑に実現します。
3. 企業信用力の向上
適正な財産管理手法に基づいて財団目録が作成されるため、企業としての信用力が向上します。
4. 抵当権設定費用の軽減
通常の不動産担保の場合‥‥‥‥‥‥‥‥ 債権額の 4/1,000
財団抵当の場合‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 債権額の 2.5/1,000
「金融検査マニュアル」での財団担保の位置づけ
金融機関では、「金融検査マニュアル」を参考に、貸出債権等を取引先ごとに定期的に自己査定しています。同マニュアルでは、「担保」は優良担保と一般担保に区分され、財団は一般担保に分類されています。一般担保とは、優良担保(預貯金、国債等)以外の担保で、客観的な処分可能性があるものをいいます。土地、建物、財団、優良担保以外の有価証券等が該当します。
工場財団
工場抵当法により、物品製造等の工場施設としての土地、建物、機械、器具その他の物的設備等により組成される財団であり、(根)抵当権の設定を目的とします。
「工場財団目録」および「工場図面」を作成して工場財団登記簿に所有権保存登記をすることにより成立します。工場財団を組成する機械・器具等の追加・分離等があった場合は、「工場財団目録」等を変更したうえで、変更登記が必要です。
観光施設財団
観光施設財団抵当法により、遊園地等の観光施設(付属する宿泊施設を含む)およびこれと一体の機能を有する土地、工作物、機械等の全部または一部により組成される財団であり、(根)抵当権の設定を目的とします。
観光施設財団所有権保存登記の対象となる観光施設には、遊園地、動物園、水族館、植物園その他の園地、展望施設(索道が設けられているもの)、水泳場(水質浄化設備が設けられているもの)の8種があります。
弊社担当鑑定士の信託銀行での財団評価実績
弊社の担当鑑定士は、下表の業種企業の工場財団等の評価に長年従事した経験を有しています。
素材・資源 | 燃料、化学、鉄鋼、非鉄金属、金属製品、紙・パルプ製品 |
産業インフラ・サービス | 産業機械、設備機器 |
運輸・公共 | 鉄道、ガス |
自動車・住宅 | 自動車、自動車部品、タイヤ・ゴム |
生活必需品・ヘルスケア | 医薬品、食品、飲料 |
エレクトロニクス・情報通信 | 総合電機、民生用エレクトロニクス、電子部品・産業用電子機器、事務機器 |
※「東洋経済業種分類」の小分類にて業種を表示しています。