不動産をオークションで売る効用とは - 共信トラスティ/土屋忠昭
「不動産はオークションで売りなさい」初版を出版して2年経過しました。その間、初版の読者の皆様から予想以上の反響をいただきました。
その中で、読者の方々のご希望に応えられないこともありました。
そこで、増補改訂版では、オークション成功事例の紹介のほかにオークションに向く不動産と向かない不動産の説明を新たに加えるとともに、民法債権法、相続法の改正点を反映させ、諸データの数字を新しくしました。
オークションに向いている不動産は、多数の買主が購入を検討してくれる不動産です。多数の買主が、是非手に入れたいと競争し、価格がせり上がるからです。多数の買主が検討してくれるには、良い地域要因(たとえば駅に近いとか、道路条件が良いとか、環境が良いとか、建物を建築するのに適した公法上の規制等)、個別要因(間口、奥行、面積、地形、接道条件等)を備えていることが必要です。
オークションに向かない不動産とは、上述の地域要因、個別要因が良くないものとか、市街化調整区域に指定されていたり、無接道で建物の建築ができなかったり、境界未確定であったり、私道の通行掘削承諾書が取り受けできない土地等です。
次にオークション成功事例について紹介させていただきます。
増補改訂版では、実施例の中から、特に読んでいただきたい11例を紹介させていただきました。
不動産の類型としては、古屋付土地が一番多く、一部、入居者のいるアパートや更地でした。中には、借地権と底地の同時売却で、買主は所有権で取得できるケースもありました。
想定外の高値売却ができた成功例の共通点を説明させていただきますと、対象不動産が駅に至近であるということがいえます。
次の共通点は、対象土地の境界が確定しており、買主が安心して購入できるという点です。
さらに、工場跡地の場合には、土壌汚染調査が完了しており、買主に事後的費用が発生する可能性がないということです。
どれ位高く売れたかというと、オークションではなく相対取引の時点で買主から提示された売買金額よりオークションで40%以上高い金額で売却できたケースもあります。
事前の入念な準備でトラブルを防ぎ、なおかつ高値で売れるオークションは、売主にとって最良の売却手段です。
オークションは、取引のプロセスが可視化がなされることで公明正大な取引を行えます。このように、オークションは売主をはじめとする関係者をハッピーにする取引です。
オークション成功例の内容については、「増補改訂版 不動産はオークションで売りなさい」(幻冬舎)をご覧ください。
共信トラスティ
不動産鑑定士 土屋 忠昭
株式会社ビル経営研究所の「週刊ビル経営」より転載(許諾済)
TAGS: オークション・オークションに向く不動産・共信トラスティ・土屋忠昭・増補改訂版『不動産は「オークション」で売りなさい』 | 2020年5月20日