外壁の損傷とそのチェック - 長嶋不動産鑑定事務所/土師一弘
近頃、全国的に地震が多発しています。私の住んでいる大分県でも1月22日の午前1時頃、震度5強の地震が発生しました。これは、マグニチュード6.6に達するかなり強いレベルの地震でした。幸い私の家や会社は被害に遭いませんでしたが、塀の倒壊や戸建住宅の外壁の亀裂、マンションの外壁タイル落下等の被害が多く発生しました。
外壁の損傷については、今回のような強い地震によってタイルが剥落するような場合は被害の程度は明瞭ですが、普段、人目につかず進行する場合は、生活上は気にならないため、放って置かれることが多いようです。この状態が続くと、雨水が建物内部に侵入し、雨漏りの原因になります。悪化すると内部の木材が腐食したり、鉄筋の錆びた部分の体積が増加し、コンクリートが内部から破裂したりします。そのような状態になると、建物全体の強度が著しく低下し、とても危険な状態になります。そうならないためには、外壁の損傷に早めに対処することが必要です。以下では、外壁の主要な施工法ごとに損傷の特徴とチェック項目についてみていきます。
<タイル>タイルの浮き、クラック(ひび割れ)、欠損、剥離等が発生すると雨漏りの原因になります。特に「浮き」は目視ではわからないため、打診棒(安く手に入ります)で直接叩いて診断します。異常な音がした場合はタイルが浮いている証拠で、その部分の張り替えが必要です。
<サイディング>各サイディングを繋いでいるシーリング材であるゴム状のパッキンの状態に最も注意が必要です。この部分に亀裂が入ったり、サイディングと離れたりすると雨漏りの原因になります。シーリングは元々柔らかいのですが、乾燥して硬くなるとこの症状が出やすくなり、早い場合は施工後3年程度で硬くなります。サイディングそのものの浮きや反(そ)りも雨漏りの原因となりますが、これは目視でみつけるしかありません。また、「チョーキング」といって、触ると壁の白い粉が付く状態は防水効果が切れたサインなので塗装が必要となります。以下のモルタルの場合も同じです。
<モルタル>モルタルの欠点は、クラックが入り易いことです。クラックは幅3mm、深さ4mmを超えると雨水が容易に浸入するため、補修が必要です。浮き・剥(は)がれは、塗装が下地から離れ浮き上がっている状態です。この状態になるとかなり危険です。
今回の大分・宮崎地方を襲った地震では、私の身近な人の自宅マンションもタイルが多数剥がれ落ちました。マンション住まいの人は、こうした機会に管理組合を通じた修繕計画への関心を持ってください。
長嶋不動産鑑定事務所
不動産鑑定士 土師 一弘
株式会社ビル経営研究所の「週刊ビル経営」より転載(許諾済)
TAGS: サイディング・タイル・モルタル・土師一弘・地震・地震外壁損傷チェック・地震外壁補修・長嶋不動産鑑定事務所 | 2022年2月21日