長崎歴史文化博物館 - 長崎県長崎市 -
かつて「長崎奉行所」があった地に建つこの瀟洒な博物館には、江戸時代から近代にかけての海外交流に関する展示がされ、膨大な資料も保存されている。
鎖国の時代、唯一の貿易窓口であった長崎には、オランダや中国の学問や文化を学ぶべく延べ1千人を超える学究が赴いた。その半数以上は緒方洪庵や前野良沢のように西洋医学の修得を目的としていたようだが、医学に限らず、長崎で習得した技術や知識はその後の日本の近代化に向け大きな力になったことは疑いない。
博物館内には、勝海舟、榎本武楊、大村益次郎、福沢諭吉、大隈重信らの名前が長崎への遊学者として記されている。
ひるがえって、日本の現状を見るに、海外留学する者が減少傾向にあるのはどうしたことか。文部科学省の集計によると、日本から海外への留学者数は、ピークの2005年の82,945人から、2009年には59,923人に落ち込んでいる。グローバル化が加速する中での若者の“内向き志向”を日本の将来にまで重ねてしまうのは行き過ぎか。