第25回PPC(環太平洋鑑定会議)バリ島会議に参加して – 大野不動産鑑定/大野 克夫
第25回を迎えるPPC(Pan Pacific Congress)会議は、環太平洋の16の国・地域の人々約540名が参加する盛大な集いである。会議はすべて英語だそうであるが、英語を聞きとることの出来ない私は、大変困ったことである。同時通訳の機器を借りたものの、ほとんど通訳されておらず、役にたっていなかった。参加の動機は、神奈川県の仲間が会議でSpeakerとなるため、その応援が主たる目的である。その題名は「リーマンショック前後における神奈川県横浜市の不動産取引及び不動産競売の動向」で、概要を示すと次のとおりである。
神奈川県横浜市の不動産取引市場ではリーマンショック後、建築基準法の改正の影響を受けることなく、順調に取引件数を伸ばしてきた総額4,000万円~5,000万円のやや高価格水準の新築戸建物件も影響を大きく受け、取引件数が激減し、リーマンショックを契機として、面積が小さい中古戸建物件の取引に、需要者は選好を変えたことがわかると、データ・グラフを駆使して、説明している。また、神奈川県横浜市における不動産競売の動向については、リーマンショック後、半年程度で売却件数は急増しており、競売のタイムラグを考慮すると、その影響をうかがうことができると説明し、その後リーマンショックに伴う不良債権処理が落ち着きつつあった2009年10月に中小企業に対する返済猶予が閣議決定され、「中小企業金融円満化法案」が成立したことを受け、競売申立(事件数)そのものが減少し現在に至っていると結んでいる。
Speaker の重責を担ったのは神奈川県鎌倉市で開業する鑑定士:小林隆志君で、ちなみに彼は東大大学院出の神奈川県期待の星である。語学力と落ち着き払った説明態度は、聞いている私たちにも誇らしい感じを与えてくれたものであった。今後のさらなる活躍を願うものがある。
我々は9月27日昼頃、成田を発ち、夕刻にデンパサ-ル空港へ到着。宿はバリ島南部のヌサ・ドゥアブノアと言う高級リゾ-ト地区にあるインナ・プトゥリ・バリホテルで、古いホテルであった。この地区内には買物もできるバリ・コレクション(ショッピングモ-ル)もあり、このエリアから一歩も出なくてもリゾ-トライフが満喫できるそうである。PPCの会議場はホテルから歩いても15分程度のウェスティン・リゾ-ト・ヌサドゥアホテルの会議場である。治安は極めて良く、一人で歩いても何ら不安は感じなかった。これは過去のホテル爆破テロの影響なのかと思う。最終日にバリ島観光をしたが、南国のゆったりした雰囲気に包まれている。バリ島では狂犬病が怖いと来る前に言われてきたものの、犬はあちこちで見られたが、犬ものんびりしたものであった。
有限会社 大野不動産鑑定事務所
代表取締役(不動産鑑定士) 大野 克夫
株式会社ビル経営研究所の「週刊ビル経営」より転載(許諾済)