環境格付けから環境不動産評価格付けへ – 評価コンサルオフィス・ケン/桂 健二
「環境不動産ポータルサイト」と「国際土地政策フォーラム」から環境価値と不動産市場の関連について一言述べてみます。
環境格付けが言われだしたのは1990年代からで、1992年ブラジルでの地球サミットのテーマとなって定着してきたものといわれています。日本では1999年の日興証券のエコファンドを初めとして、SRI(社会的責任投資)ファンドが運用されてきています。
とりわけ、政府(環境省)の緊急無利子融資(2009年度~)で環境格付けを受けることが盛り込まれ、指定金融機関となった日本政策投資銀行(DBJ)が地域金融機関と連携して「環境格付融資」を行なってきました。この「環境格付」は、企業の価値形成が有形資産よりも無形資産に依存する割合が高まってきている結果とも言えます。
反面、有形資産に対する付加価値のうち不動産の環境価値が重視されてきていることも忘れてはなりません。CRE(企業不動産の価値創造)戦略にあっては企業の社会的責務からこの環境価値を重視した「環境不動産」の組み入れが課題となってきています。
このことは、我が国を襲った東日本大震災によりエネルギー資源の有限性に直面した企業の社会的責務や事業の安定継続の観点からも経済活動ならびに社会生活の基盤となっている不動産の在り方、活用のありかたが重要な事項と認識され、震災復興にあたり計画性をもったゾーニング設定に必要な考え方といえるのではないでしょうか?
不動産鑑定評価の立場からも、環境価値を重視した不動産市場における「環境不動産の価値評価の定量化」の確立が望まれ、無形資産の環境格付けと同じく、有形資産の鑑定評価格付けが進展することを期待しています。興味をお持ちの方は、国土交通省の「環境不動産ポータルサイト」をご参照ください。
評価コンサルオフィス・ケン
代表 不動産鑑定士 桂 健二
株式会社ビル経営研究所の「週刊ビル経営」より転載(許諾済)
TAGS: 不動産・桂健二・環境不動産・評価コンサルオフィス・ケン・評価格付け | 2011年9月27日