固定資産課税業務と不動産鑑定について- 評価コンサルオフィス・ケン/桂健二
新型コロナウイルス感染拡大が漸く収まりつつある状況となって来ましたが、海外では再拡大となっている国も数多くあり、引き続き感染防止に注力したいものです。
さて、この11月下旬に新型コロナウイルス感染対策として実施されている固定資産税の負担増を回避する特例措置が令和3年度1年限りで終了を検討するニュースがありました。
固定資産税は市町村にとって主要財源となっており、税収の約4割を占めています。
税額は固定資産「評価額」を負担調整した「課税標準額」に税率をかけて決めているもので、「評価額」は3年毎に見直し令和3年度はその見直し更新の年でした。
この特例措置は地価の上昇で税額が増えるときは前年と同額に据え置きとして、地価の下落で税額が減少したときは減少した税額とすることで、コロナの影響が続く状況で収入に打撃を受けた個人や企業に配慮する政策です。
政府・与党や総務省は令和4年度以降はこの特例を終了して従前の運用に戻すべきとの見解ですが、私見としてはコロナの影響が収まるまで少なくとも、令和4年度、5年度まで(次回の評価額見直し年度まで)この特例措置を継続すべきと期待しています。
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、この2年間は国民の生活パターンの変化、企業の運営形態の変化、テレワーク、在宅勤務等勤労者の勤務体制の変化など、大きな変革の流れの中でDXによるSDGsな地方創生および都市行政、産業インフラ基盤の拡充など産官学連携で改善だけで無く改革を推し進め社会システムの転換が叫ばれ実施されてきています。
今般、(一財)資産評価システム研究センターによる第24回固定資産評価研究大会のオンデマンド視聴に参画して「デジタル化社会と固定資産税」を視聴しました。
自治体のDX推進計画が令和3年1月から始まり令和7年3月までの期間で行われており、とりわけ資産税課の業務改革が推進されてきています。
そのなかで土地評価業務について現地調査の実施方法、評価方法の標準化・土地評価システムの導入、課税誤りに伴う措置・要綱等の作成が具体化してきています。
また、課税誤りの審査業務を扱う固定資産評価審査委員会の委員に弁護士、一級建築士と並び不動産鑑定士が選ばれている自治体が多くなっています。
例えば神戸市の審査委員会は審査委員9名で不動産鑑定士、一級建築士、弁護士各々3名で構成されています。
なお総務省から自治体あての土地の価格に関する修正基準の取扱についての通知のなかで土地価格および標準宅地の選定には不動産鑑定士等の意見等を参考とすることが述べられており、不動産鑑定士の必要性が認められてきたことは喜ばしいことではありますが、不動産鑑定士としても一層、鑑定業務に精通することが望まれます。
評価コンサルオフィス・ケン
不動産鑑定士 桂 健二
株式会社ビル経営研究所の「週刊ビル経営」より転載(許諾済)
TAGS: デジタル化社会と固定資産税・固定資産税・桂健二・特例措置・第24回固定資産評価研究大会・評価コンサルオフィス・ケン・課税標準額 | 2021年12月20日