「杜の都」の都心再構築 - 北斗総合鑑定/秋元康男
「杜の都」仙台では、令和元年から「せんだい都心再構築プロジェクト」がスタートしている。これは、東日本大震災からの復興の一方、既存建築物の老朽化や新築オフィスビルの供給減、仙台駅前の大規模画地が未利用・低利用の状態になる等、新たに顕在化した課題に取り組み、東北を牽引する都市として成長することを目的としたものである。当プロジェクトでは、都心の将来イメージを「仙台駅エリア」、「勾当台・定禅寺エリア」等に区分し、それぞれ個性的な街づくりを計画している。
「仙台駅エリア」は、東北地方の玄関口「JR仙台駅」を中心とし、西口・東口エリアが一体となり発展を遂げている。平成27年に地下鉄東西線が開通、翌年には東西自由通路「杜の陽だまりガレリア」が拡幅された。駅中心部には「エスパル仙台東館」、西口にはペデストリアンデッキ沿いに「仙台パルコ2」が開店した。また、東口では、楽天イーグルスの本拠地である「楽天モバイルパーク宮城」との間を「宮城野通」(イーグルスロード)が結び、周辺にはマンションの他、専門学校や飲食店舗等が集積し、賑わいを演出している。更に、東口では「優良民間都市再生事業計画」として認定された「ヨドバシ仙台第1ビル計画整備事業」がペデストリアンデッキ拡張やバス発着所整備等の駅前再整備と一体となり進められている。
「勾当台・定禅寺通エリア」は、けやき並木が印象的な「定禅寺通」と、市民広場や官庁街を中心とする「勾当台」という隣接するエリアで構成される。当エリアは、百貨店、店舗・事務所ビル等が集積する商業地域であることに加え、「宮城県民会館」「仙台市民会館」「せんだいメディアテーク」等が建ち並ぶ。「定禅寺ストリートジャズフェスティバル」や「SENDAI光のページェント」等のイベントも開催される仙台の文化的中心地でもある。しかし、県有施設等の集約政策により、「宮城県民会館」は「仙台医療センター」跡地への移転が予定されており、「仙台市民会館」も老朽化が著しく、「国際センタ―駅」付近の音楽ホール完成後は建て替えを行わない方針となっている。当エリアでは、「仙台駅エリア」と比較し通行量が減少傾向にあり、両会館跡地の活用方法に注目が集まる。
以上の通り「仙台駅エリア」、「勾当台・定禅寺エリア」の現状には相違があるが、両エリアは仙台を代表する商業地域であることから、様々な社会実験が実施されている。これらの知見を活かし個性的な街づくりが進むことで、「杜の都」仙台の都市魅力度が増すことが期待されている。
北斗総合鑑定
不動産鑑定士 秋元 康男
株式会社ビル経営研究所の「週刊ビル経営」より転載(許諾済)
TAGS: SENDAI光のページェント・せんだい都心再構築プロジェクト・仙台・仙台駅エリア・勾当台・定禅寺通エリア・北斗総合鑑定・定禅寺ストリートジャズフェスティバル・杜の都・秋元康男 | 2023年3月20日